河合隼雄「心の処方箋」

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    みなさんこんにちは。

    主に中学生国語科と高等部のチューターを担当しております富田です。

     

    今週は久しぶりに読書感想文を掲載しようと思います。

    今回紹介する本は、河合隼雄先生の「心の処方箋」です。

     

    河合隼雄先生は、臨床心理学の第一人者で、私の大学の先生の師匠にあたる方です。

    言うなれば、私の師匠の師匠です。

    また、河合先生の文章は、時々、国語の説明文にも登場することもあります。

     

    「子どもと学校」「子どもと悪」といった他の作品も読ませていただきましたが、

    非常にためになる内容が多く、最近好んで読ませていただいています。

     

    その中でも今回ご紹介する「心の処方箋」は短編集となっていて、

    とても読みやすく、心に響く言葉もたくさん出てきますので、

    いくつかご紹介してみようと思います。

     

    〇「100点以外はダメなときがある」

     

    この言葉は、人生には、時に「100点以外はダメなときがある」というものです。

    0点はもちろん、70点も80点も、90点も、99点もいけない。100点以外は意味がない!

    そんな瞬間が人生には何回か訪れます。ただし、そんなに多くあるわけでもありませんが。

     

    私にとっての「100点以外はダメなとき」は、高校野球でした。

    実力も実績もない私は、常に100点を取り続ける必要がありました。

    しかし、勝負所で怪我をし、試合にも出れず、最終的な結果は、0点でした。

    また、いつからか私は野球に対して100点を取り続けているつもりが、

    80点や90点で満足をしていました。

    みんなより出来ているからいいだろう、

    つまり、「平均点」より取れているからいいだろう、と。

     

    今考えると後悔しかない3年間でした。

    もし100点を取り続けていたら…。

    仮に取り続けていたとしても、試合には出られなかったかもしれません。

    しかし、100点を取り続けたという自信は、

    今よりももっと自分を魅力的なものにしてくれたと思います。

     

    みなさんにとっての「100点以外はダメなとき」は、いつ、何のときでしょうか。

    中学校3年生で言えば、3週間後に控える公立高校入試かと思います。

    先ほども述べたように、こういう場面は人生においてそうそうあるものではありません。

     

    そういった時に、この言葉を知っていると、

    もしかしたら、これまで以上に上手くことが行くかもしれませんね。

     

    〇「ものごとは努力によって解決しない」

     

    「ものごとは必ずしも努力によって解決するとは限らない」というのが、

    河合先生の考えです。

     

    「いくら努力しても報われない」と自分を必要以上に責めてしまったり、

    「こんなに努力しても解決しないのは、〇〇がだめだからだ」

    と他人や組織のせいにしてしまったりするのは、

    どこかに「努力すれば絶対に大丈夫」という固定観念があるからだと語っています。

     

    よくよく考えてみれば、

    生まれや出生などはどう頑張ったところで絶対に変えることはできませんし、

    アイドルやプロ野球選手になりたいと思っても、今からでは厳しいものがあります。

    極端な例を考えてみれば分かりやすいものですが、

    勉強や部活動といった身近なものだと、この考えは盲目になってしまいがちです。

     

    ただ、全く努力しなくてよいかと言われればそうではないと述べています。

    「努力すれば絶対に大丈夫」という固定観念がいけないのであって、

    努力すること自体は必要不可欠であると書かれています。

     

    「努力によってものごとは解決しない、と分かっているのだけど、

    私には努力するぐらいしかすることがないので、やらせて頂いている」

    くらいの謙虚な気持ちで努力すれば、

    必要以上に自分や周りを責めることもないというのが河合先生のアドバイスです。

     

    特に、中学校3年生は、今の時期、受験でかなり神経質になっている時期だと思いますが、

    この名言を読んで、少し肩の力を抜いてみてもいいかもしれませんね。

     

    〇「人の心などわかるはずない」

     

    臨床心理学の専門家と聞くと、人の心をすぐに分かりそう、

    心を見透かせそうなどと思いがちですが、

    当の河合隼雄先生は「人の心などわかるはずがない」と述べています。

     

    では、専門家としてどのように人と接しているのか。

    それは、「相手の心をすぐに判断したり、分析したりするのではなく、

    これからどうなっていくのか、

    という未来の可能性に注目して会い続けていくこと」としています。

     

    さらに、こうも述べています。

    「速断せずに期待しながら見ていることによって、

    今まで分からなかった可能性が明らかになり、

    人間が変化してゆくことは素晴らしいことである。

    しかし、これは随分と心のエネルギーのいることで、簡単にできることではない。

    むしろ、『わかった』と決めつけてしまうほうがよっぽど楽なのである。」

     

    「決めてしまうと、自分の責任が軽くなってしまって、

    誰かを非難するだけで、物事が片付いたような錯覚を起こしてしまう」

     

    私は少しではありますが、心理学を学んだ者として、この文章を読むと、

    「分かった気になってしまってはいけない」と戒められます。

     

    これから教員として職務に当たって、この言葉を胸に、

    心理学で学んだことを還元していきたいと思います。

     

    〇今週、先週の「富田通信」

     

    今週、先週分の「富田通信」です。

     

    この通信、そしてブログを書けるのも残りわずかになってしまいました。

    残りの回数も精一杯頑張りたいと思います。

     


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